DECEMBER 7, 2021

ad:tech2021 振り返り [DT4] Cookieless時代のコミュニケーション その1  

こんにちは!BICP DATAの渡邉です。
先日、2021年11月1日にad:tech tokyo 2021でお話をする機会をいただきました。とっても楽しい時間だったんですが、有り難いことに、なんとそのセッションが、セッションランキング1位に輝きました!わー!わー!嬉しい!

ということで、ちょっと振り返りのエントリです。長くなってしまったので三分割でお届けしたいと思います。


タイトル:Cookieless時代のコミュニケーション~次にくるのは何か


と題しての50分。

モデレータはADKマーケティング・ソリューションズの竹下さん。
パネリストとして、事業会社からソニーマーケティングの橋本さん、エン・ジャパンの田中さん、そして元花王で現在は独立されて事業会社をされているOriginals&Co.の中根さん、あとは支援会社としての私、の5名でした。

竹下さんの素晴らしい回しっぷりと、中根さんの示唆に富んだ投げ込み、そして橋本さん、田中さんのブランドとしての本質に切り込む意見により、なかなかに濃い、非常に楽しい時間になりました。

タイトルからするに、オーディエンスはデジタルマーケティング施策のこれからに対する救済策を求めて代理店さんや広告主さんが多くなるのかな、と勝手に予想していました。

実際の会場での比率は
-事業会社 4
-支援会社 4
-メディア 2
という感じでした。オンラインで見ていただいた方の比率は分かりませんが、思ったより偏らなかったという印象です。

テーマ① Cookielessの功罪

まずは私から、「クッキーレスの功罪」と題して、このセッションにおける議論の前提となる以下の点についてお話ししました。

  • Cookielessという潮流は単なる「デジタル広告の阻害要因」ではない
  • Cookielessは「テクノロジーの高度化の末に起こってしまったデータ乱用への反動」という大きな潮流のホンの一側面に過ぎない
  • Cookieless時代に何をするかをきちんと考えるということは、顧客を守るアクションである

これを受けて、エン・ジャパン田中さんからは、プライバシーガバナンスをどうやって構築していくかがホットなテーマであるということ、そしてプライバシーへの対応は単なるプライバシーポリシーの書き換えではないし、経営者や法務に丸投げするものでもない、マーケター自身が主体的に運営体制を自分達で作ることが必要である、という発言がありました。

一方で、ソニーマーケティング橋本さんから共有いただいたのは、自社ではデータ担当とリーガル担当が存在し相談しながら進められる体制になっているため、マーケターがプライバシー対応をそこまで意識せずとも進められる、ということでした。マーケターからすると、なんとも有り難い環境ですね!

プライバシー対応リテラシーをマーケターのスキルとして含めるか、マーケティング部門の外側の組織を強化してマーケターが相談できる体制にするかは、組織の大きさや組織づくりの考え方次第で分かれるところだと思います。

このタイミングでOriginals&Co.中根さんからは「CPO(チーフプライバシーオフィサー)はいますか?」という問いかけがありました。エン・ジャパンさんでは、「NO」。社内にCPOがいないからこそマーケター一人一人が責任を持つ必要があるとのお考えでした。ソニーマーケティングさんは「YES」。社内にCPOがいるからこそ、部門毎に相談ができるデータ責任者を配備することが可能になったようです。

これはC-3PO

今後CPOを設置する企業さんも増えていくでしょうが、CPOとCPOが率いるプライバシー保護組織の担う役割を定義して他部門とどのように連携をしていくかを決めていく必要があり、明日から、という訳にはいきません。確実に移行期間が発生すると思いますので、エン・ジャパン田中さんの言われるようなプライバシー対応もマーケターの必要スキルととらえ、マーケター自身が主体的に動いていく、という考え方が非常に大切になってくると感じます。

なお、エン・ジャパン田中さんはDX企業のプライバシーガバナンスガイドブックなどを参考にしながら、体制づくりについて検討されているそうです。このガイドブックは、BICP DATAも非常にお世話になっているドキュメントです。参考までにリンクを張っておきます。

DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブック ver.1.1
https://www.soumu.go.jp/main_content/000760716.pdf

また、チームにおいてプライバシーポリシーの読み合わせもされているとのことで、どうしてそこに至ったのかと伺うと、「自分でユーザとして読んでみて意味が分からないところがあると気づいた、同意をいただくという意味でも解釈がぶれると大変なことになると思った。」とのこと。常に顧客・生活者の目線を持って自社サービスに触れるというのはマーケターに必須の姿勢ですね。

日本におけるプライバシー・ガバナンスに話題が移り、Originals&Co.中根さんからは多くの企業が指針を決め切れていないし、正解はないが、積極的に対応をしていく企業は国からも生活者からも信頼を得ることができるというお話がありました。どうしてもグローバルに対して日本国内の企業の対応は遅れをとっている感がありますが、「日本は緩いからそれでいい」ではなく、顧客の気持ちに沿えているかどうか?を考えながら進め、日本法がいつGDPRレベルに引き上げられても焦らないですむ状態にしたいものです。

続いて、ソニーマーケティング橋本さんから、マーケティングコミュニケーション観点からのお話。Cookieless時代とて、概ね体制に影響はないとのこと。そもそも【外部環境は変化をするもの】という前提に立っているので、変化があればそれに適応していくだけだ、とのお考えです。顧客目線を大切にするということを軸として、戦略としては3rd party データと1st party データで分けて考えていて、特に顧客体験をより良くするための1st party データの強化は重点テーマということでした。

ここからセッションの後半に移ります。
続きはその2にて。
お楽しみに!


その2はこちら
その3はこちら

WRITTEN BY: BICP DATA 渡邉桂子
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