NOVEMBER 9, 2021

データを活用するその前に、まずは人間と向き合ってみよう

こんにちは、BICP DATAの菊川です。
先日10月27日~30日に沖縄で開催されたマーケティングアジェンダ2021に参加させていただきました。またBICPグループでは3年連続でプレゼンテーションアワード1位を受賞させていただきました!
弊社に投票いただきました皆様、また会場にてお話しさせていただきました皆様、本当にありがとうございました。

「データプライバシーとブランドのあり方は表裏一体。思考の分断をつなごう。」というタイトルで、今回のアジェンダテーマでもある”人間理解”にそって「人間理解のためにデータを使う前に、人間を理解して、信頼される、喜ばれる使い方をしましょう」というお話をさせていただきました。

本日はこのプレゼン内容の一部ではありますが、振り返りもかねて、“人間を理解したデータ活用”って何だろうということを改めて考えていきたいと思います。

■データ規制の背景に焦点を当ててみる

まずは昨今のデータ規制についてお話をさせてください。
法律面では海外のGDPRやCCPA、日本では個人情報保護法の改正、またプラットフォーマーによる規制ではAppleのITPやATT、GoogleのPrivacy Sandboxの取り組み等があり、特にデジタルマーケティングに従事している皆さんはここ数年これらの規制に対応するべく、対応策を検討されてきたのではないでしょうか。

では、なぜ今データが規制される時代になったのか?
私たちBICP DATAはこれからのデータビジネスの発展のために、まずはここをきちんと紐解いて理解することが大事だと思っています。

前提としてこれまでのデータビジネスは企業が主体でした。 企業側がビジネス発展のために生活者のデータを取得し活用していた、その過程において時に企業の都合で身勝手に生活者のデータが収集・乱用されたケースもあります。 テクノロジーの高度化により、これが人権侵害と言えるまでの影響を及ぼしてしまい(無意識に意識を操作されるという意味で)、スキャンダルとしてニュースになりました。
この状況に違和感を覚えた生活者側がプライバシー侵害であると声を上げ、企業によるデータ活用に異議を唱えた結果が現在のデータ規制に繋がっています。

つまり「Cookieが規制されたから、これからはIDベースでデータを活用してビジネスを行っていこう!」という考え方だけで企業主体のデータ活用をしてしまうと同じ失敗を繰り返す可能性をはらんでいます。今後また生活者から異議を唱えられ、IDベースのデータ活用も厳しい規制対象にあってしまうと思われます。
これでは一生、規制とビジネス発展のイタチごっこですね。笑

■データの主体が変わった

皆さんも一度はゼロパーティデータという言葉を聞いたことがありますよね。
次はデータが規制される中、なぜゼロパーティデータという概念が生まれたのかをご説明します。

まず、ゼロパーティデータを提唱したFORRESTER社のFatemeh Khatibloo氏は次のように説明しています。
“ゼロパーティデータとは、お客様が意欲的かつ自発的にブランドと共有するデータのことです。これには、プリファレンスセンターのデータ、購入意図、個人的なコンテクスト、ブランドに認識してもらいたい自分像などが含まれます。”

そうです、生活者が意欲的かつ自発的に企業に提供(共有)するデータのことを指しているのですね。もちろん、それはただ生活者が企業に提供するだけのデータではありません。
データを企業に提供するだけのメリットを企業側に期待しているからこそ、この生活者と企業との関係性が成り立つのです。まさに生活者と企業が信頼で繋がるためのデータと言えると思います。

これまでのビジネスで活用されていたデータ(1st, 2nd, 3rd パーティデータ)は企業が主語、つまり企業が企業のビジネスの発展のために活用していたデータでした。
それに対し、ゼロパーティデータは生活者が信頼する企業からのベネフィットを期待して提供するデータ、つまり生活者が主語のデータということになります。

そのためゼロパーティデータはこれまで活用していた1st,2nd,3rd パーティデータと主体が全く異なります。これまでのデータ規制の背景から読み解いても企業が主語となるデータ活用では生活者から拒絶されてしまう可能性がある、だからこそゼロパーティデータで生活者と繋がれる関係づくりをしていきましょうということですね。

■誰のためにデータを活用するか

さて、ではこれからのデータ活用はどういうものであるべきか。

ここまで散々企業が身勝手にデータ活用をしてきた等々書きましたが、私自身は決してそうではないとは思っています。だって、我々ビジネスマンはもともと生活者のためにビジネスを行っているではないですか!笑

私自身もこれまでDMP事業やアクセス解析の仕事を担当してきましたが、いかにデータで生活者に効率の良いサービスを提供できるかを考えていました。生活者のために、という点では同じですよね。なのでこれからのデータ活用は生活者のために行いましょう、という言葉は決して新しくないと思います。
ただこれからはより“丁寧に”そして“これまで以上の思いやり”が求められているのではと思うんです。

マーケティングアジェンダ帰りの飛行機で思い出したのですが、そういえば友人に自分の仕事の話をするとき「今GAってツールでユーザーがどういう風にHPを回遊してるかを分析してるんだ」とか「WEBでどんなページを見ているかとかで、その人の好みを推定するDMPの事業をやってるんだ」とか説明していたんですね。
その時決まってみんな必ず言うんです。「えーそんなことわかるの?こわーーいw」って。そして当時(今も)能天気だった私はこう返していました。「ねーまじ今の世の中こわいよねーw」と。

データ規制が始まった当初、私は「やっぱ外国の人は過激だなー」くらいにしか思っていませんでした。ですが、思い返すと自分でもまた周りでも“こわい”という思いは持っていたみたいです。今に始まった感情ではなかったんですよね、ただ自分がその仕事をしていたからその状況がアタリマエと思っていただけでした。

世の中には私たちの思っている以上に、データ活用について知らない人がたくさんいます。そしてそのほとんどがデジタルマーケティングに従事していない、私たちがサービスを提供する相手、生活者です。
だからこそ、これからはこの“こわい”という気持ちに寄り添ったデータ活用を行っていきたいなと思っています。

■人間に思いやりを持ったデータ活用方法を

これからはより“丁寧に”そして“これまで以上に思いやり”をもって、データ活用をビジネスに取り入れていく。例えばこれのアウトプットがデータ活用についての説明をこれまでより詳しく書いてみるでもいいと思います!

これまでは人間を仕分けるためや行動を観察するためにデータ活用を行ってきた時代でした。 ただ、これからはデータ活用を行うその前に、その活用方法が人間を理解した、人間に思いやりを持ったデータ活用の方法であるかを考えてみましょう。
きっとそれが、これから皆さまの企業がお客様から選ばれる企業になる近道になると信じています。

BICP DATAではデータ活用における守りの部分を、またBICPグループとしてはもちろん攻めのデータ活用についてもサポートさせていただける体制を整えております。
ぜひお気軽にご相談ください。

WRITTEN BY: BICP DATA 菊川眞衣
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