APRIL 27, 2023

FAQから整理する改正電気通信事業法・その3

こんにちは!BICP DATAの中村です。

改正電気通信事業法をFAQから整理するシリーズ。

これまでは、そもそも改正電通法が適用となる事業者かどうか、という論点についてのものでしたが、ここからはいよいよ、適用される場合に何をしなければならないのか、についてです。

1.おさらい

復習ですが、今回の改正電通法「外部送信規律」とはどういう場面で問題になるのかというと、

・利用者のパソコンやスマートフォン等の端末で起動されるブラウザやアプリを通じて、
・それらの端末に対して、当該端末に記録された利用者に関する情報を外部に送信するよう指令するプログラム等を送信する場合

ですね。

その1でも参照した図を再掲します!  参照:総務省HP

このような場合、

当該利用者に関する情報の内容、当該情報の送信先となる電気通信設備その他総務省令で定める事項
②当該「利用者に通知」または「利用者が容易に知りうる状態に置」かなければならない

とするのが外部送信規律です。

そこで、今回はまず、「通知」、「利用者が容易に知りうる状態に置」くとはどういうことか、についてみていきます。

2.通知または公表

「通知」、「利用者が容易に知りうる状態に置」く=公表、については、規則において以下の点を満たすようにして行うべきであると整理されています。

これについては、FAQには「通知内容」とあるのですが、「通知の際の表現について」、といった方がわかりやすいかもしれませんね。

なお、通知・公表の内容について、以下の指摘もあります。

これはプライバシーポリシー等の作成においても同じことが言えますね!!

プライバシーポリシーなどの法令に基づく文書・ポリシーは、どうしても文字ばかりになってしまい、それを作る側の私でも、読むのが大変・・・でもどうしても文字で表現しないと難しい。

ということで、やはり階層化する、表組みする、色分けする、といった視覚に訴える方法をとることで、読む気にさせるポリシー等になる、ということが、利用者・生活者にとって必要な情報を提供し、透明性の高い信頼されるサービスになるということです!

プライバシーポリシーも「ただ置いておく」時代から「読んでもらう」時代へ!

3.具体的ケース

それではいよいよFAQで挙げられている具体例を見ていきたいと思います。

(1)通知内容について

結論として、日本語を用いる必要があるとされています。但し、英語など当該サービスの一般的な利用者が理解しやすい言語での記載を併記することが望ましい、とのことです。

利用者に伝われば良い、との観点からすると、当該サービスの一般的な利用者が理解しやすい言語のみでよい気もしますが、日本で提供されるサービスであるから、と理解しておけば良いと思います。

これについては、
「当該電気通信役務で想定される一般的な利用者の知識や理解力等を基準として判断すべきです。その際には、ユーザーアンケートを行ったり、外部の有識者の意見を踏まえたりすること等が考えられます。」
という回答がなされています。

ここはかなり具体的に指摘をしていますね。一般人の知識や理解力を基準として判断する、という基準は法令解釈では良く登場しますが、一般人って何よ?というツッコミ(笑)に対して答えをくれているとおもいます。

(2)通知方法について

次に、どういう方法で通知することが求められているのか、について見ていきます。

(a)通知方法

通知方法としては、「当該事項を掲載した画面の所在に関する情報」「映像面に即時に表示する」ことが求められています。

「当該事項を掲載した画面の所在に関する情報」とは、通知等を行う事項を掲載したウェブページのURL等を指します(問3-7)。

「映像面に即時に表示する」とは、例えば、ウェブサイトやアプリケーションの画面上で、ポップアップ形式によって即時通知を行うこと等が考えられます(問3-8)。

最近ポップアップ方式のものも見られるようになってきましたね!

そして、当該事項の一部の意味を表示する場合には、「残部を掲載した画面に容易に到達できること」が必要とされています。

例えば、ポップアップ形式によって即時通知を行う場合に、ポップアップ画面では通知等を行う事項を全て掲載するスペースが足りない場合に、ポップアップ画面には、通知等行う事項の一部と併せて、全文を掲載したウェブページに遷移するリンクを掲載するといった方法が考えられます(問3-9)。

今存在しているCMPツールの大半が、すべてを掲載できないためリンクを掲載するという措置を取っていますね。

(b)その他の方法

そして、この即時通知の方法以外にも、事業者が独自に行う通知方法であったり、新たな技術やユーザーインターフェースが開発されたりした場合には、ポップアップ形式の即時通知以外の方法も可能であるとのことです(問3-10)。

なお、書面により通知できるか、との問いも挙げられていましたが(問3-6)、そもそもパソコンやスマホ等の端末を通じての外部送信についての問題なので、あえて書面で通知するのは利用者にとっても事業者にとってもメリットはないでしょう。

技術の進歩に応じて柔軟な対応が必要となっていきます。

(3)公表の方法について

次に、公表の方法としては、

・外部送信を行うウェブページまたは当該ウェブページから容易に到達できるウェブページに掲載すること
または、
・利用者がアプリを利用する際に最初に表示される画面またはそこから容易に到達できる画面に掲載すること

とされています。

これに関して、

との質問に対しては、
「情報の外部送信を指令する通信を行うウェブページにおいて、遷移先に通知等を行う事項が表示されていることが利用者にとって理解できる形でリンクが配置されていれば、当該遷移先のウェブページは、「容易に到達できるウェブページ」に該当すると考えられます。」

とされています。

これは、どこまで求められていると考えればよいでしょうか。プライバシーポリシーのリンクを張るだけで利用者にとって理解できるといえるのでしょうか。

ここは「情報の外部送信について」といったリンク先名にしてあればベストかもしれませんが、公表という方法を選択する場合、プライバシーポリシーやサイトポリシーに記載される事業者が多いと思われます。その場合であったとしても、せめてそのポリシー内で外部送信についての事項が記載されているということが明確になるようにしておけば、この要件を満たすといいやすいかもしれませんね。

これは「先に」表示することまでは求められないと言っていいでしょう。

「具体的には、アプリケーションの起動後最初に表示される画面自体において、利用者が容易に知り得る状態に置くべき事項を記載する、または、当該画面に当該事項を表示する画面へのリンクを記載する方法により行うことが考えられる」、とはされていますが、事業者名等よりも先に表示すべきことまでは求められていません

アプリの画面はウェブサイトよりは狭いですし、誰が提供するどういうサービスのアプリなのかわからないうちに外部送信事項についてドーンと公表されていても、利用者にとってありがたいとは言えないですよね(笑)。

そして、これらの通知・公表方法はあくまでも例示に過ぎず、「今後、新たな技術やユーザーインターフェースの開発・進展が見込まれ、また、事業者による創意工夫等を尊重するため、第3項第1号(ウェブサイトの場合)、第2号(アプリケーションの場合)の方法に限らず、同等以上に利用者が容易に認識できるようにする方法を採用することを可能としています。 例えば、ウェブサイトにおいては、ウェブサイトのトップページに表示すること等も考えられます」とのことです(問3-13)。

4.最後に

以上、通知・公表の方法、注意点について、FAQをとおして見てきました。通知、公表を行うにあたっても、細かなところに注意して、抜かりなくやっていきたいですね!

次回は、通知・公表する内容その他について見ていきたいと思います!

FAQも終わりに近づいてきましたね!

BICP DATAでは、改正電気通信事業法への対応ついてのご相談も広くお受けしております。お気軽にご相談ください!

WRITTEN BY: BICP DATA Inc. 弁護士 中村恵美子
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