MARCH 23, 2023

FAQから整理する改正電気通信事業法・その2

こんにちは!BICP DATAの中村です。

改正電気通信事業法をFAQから整理するシリーズ。いよいよ具体的ケースの検討です。

電気通信事業を営む者に該当するか、という点がまずは皆さんの気になる点だと思いますので、その点についてまとめて見ていきたいと思います。

1.事業の実施状況・形態による適否

まずは事業内容ではなく、事業の実施状況・形態によって電気通信事業を営む者にあたるかどうか、という視点で整理して見ます。

(1) 電気通信事業を営んでいるが当該サービスの利用者が少ない場合

当該機能を利用するユーザーが少ないことは、「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」であるか否かの判断に影響せず、本規律の適用対象となります。

これはつまり、当該機能を利用するユーザーが少ないというだけでは「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない」とは言えないので、その事情があったとしても他の事情を満たせば本規律は適用される、ということです。

(2)実店舗が主力販売チャネルだが自社ECサイトでも自社製品のみを販売している場合

小売業者がウェブサイトを開設して商品販売を行う場合は、本来業務である小売業の遂行の手段として電気通信を用いているに過ぎず、自己の需要のために電気通信サービスを提供しているため、「電気通信事業」に該当せず、外部送信規律は適用されません。

(3)自社ECサイトのみが販売チャネルでかつ自社製品のみを販売している場合

この場合も「自己の需要のために」電気通信サービスを提供しているので、外部送信規律は適用されません。

(4)実店舗での販売とオンラインショッピングモールの運営を行っている場合

オンラインショッピングモールのような、インターネット経由で複数の店舗でネットショッピングを行うことができる又は複数の出品者の商品等を購入できる「場」を提供するサービスは「電気通信事業」に該当し、さらに、「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」にも該当しますので、外部送信規律が適用されます

なお、ここでいう「複数の店舗」については、当該店舗がグループ企業等限定的なものであっても、同様です。

自社サイトで他社製品も販売しているとこれに該当するようです。

2.サービス内容による適否

では、具体的サービス内容に着目してみていきます。

まずは結論だけを最初にまとめてみます。

なんとなくイメージがわいてきたでしょうか。

では、一つ一つ見ていきます。

(1)適用されるケース

これは3号の「検索」に該当しそうですが、特定分野に限ったものであって、「全てのウェブページ」の所在に関する情報を検索できるものではないので、同第3号のオンライン検索サービスには該当しません

しかし、各種情報のオンライン提供として、「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」に該当し、外部送信規律が適用されることになります。

マッチングプラットフォームサービスについては、不達の点において、「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」に該当します。

まず、オンラインショッピングモールと同様、「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」に該当し、

また、コメント機能(SNS・電子掲示版と類似)、ユーザー間でメッセージのやりとりをする機能(「他人の通信を媒介する電気通信役務」)があることからも、「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」に該当します。

よって、外部送信規律が適用されることになります。

求人情報などの情報提供サービスを運営するためのサイトやアプリについては、各種情報のオンライン提供として、情報の外部送信が行われているのであれば、外部送信規律の適用対象となります。

個人間でのチャット機能の有無にかかわらず、オンラインゲームやオンライン教育等のコンテンツサービスは第2号に該当するため、外部送信規律の適用対象となります。

ユーザー同士のコミュニケーションの場かどうかというのも1つの判断要素となりますね。

(2)適用されないケース

サーバー間連携システムは、外部送信規律の対象役務の類型に含まれませんので、外部送信規律の対象にはなりません。

サービスの開発環境や検証環境については、企業等が業務に関して自ら当該環境を設置・運営しており、自己の通信のために行われるものであるため、「電気通信事業」に該当しません。したがって、外部送信規律の対象にもなりません。

3.同一ウェブサイト内で適用の有無が分かれることがあるか

ちょっと視点の異なる問題を見てみましょう。
ウェブサイトによっては、外部送信を伴うものと外部送信を伴わないもののいずれのページをも有している場合があるでしょう。その場合はどう考えるべきでしょうか。

ニュース配信を行っているページについては、各種情報のオンライン提供サービスに該当するため、外部送信規律に対応いただく必要があります。

他方、会社案内のページについては、自己の情報発信のために運営していると考えられ、「電気通信事業」には該当しないため、同じウェブサイト内の当該ページにおいて外部送信が行われていたとしても、外部送信規律に対応いただく必要はありません。

このように、同じウェブサイト内でも各ページで行っている送信の内容によって外部送信規律に該当したりしなかったりすることに注意が必要です。

4.まとめ

いかがでしたか?具体例としてはまだまだあると思いますが、ここで挙げられたものに類似していないかをまず検討してみてくださいね!

該当するか断定できないなぁ。そう思うこともあるかと思います。法律が適用されるされないの判断には常にそういった曖昧さがつきまといます。

そこで、いったん法律の適否を横に置いて、サービス利用者がどう感じるか、自分がサービスを利用する立場であればどう思うか、という風に、生活者目線で対応するかしないかを検討してみる、というのも1つの方法かなと思います。

色々な切り口で考えてみてくださいね!

ゴールに向けて、根気よく検討を続けましょう!

BICP DATAでは、改正電気通信事業法への対応ついてのご相談も広くお受けしております。お気軽にご相談ください!

WRITTEN BY: BICP DATA Inc. 中村恵美子
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