FEBRUARY 17, 2023

FAQから整理する改正電気通信事業法・その1

こんにちは!BICP DATAの中村です。

改正個人情報保護法の対応で一息ついたかと思いきや、今度は外部送信規律についての改正電気通信事業法(以下「電通法」)の施行が約4ヶ月後に迫って参りました。
先日、これに関してFAQが公表されました!

今後、徐々に更新されて行くようですが、現時点(2023年2月17日)では、

1.総論
2.利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務(規則第22条の2の27関係)
3.利用者に通知し、又は利用者が容易に知り得る状態に置く方法(規則22条の2の28関係)
4.利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態におくべき事項(規則22条の2の29関係)
5.オプトアウト措置に関し利用者が容易に知り得る状態に置くべき事項(規則22条の2の31関係)

についてのFAQが掲載されています。

※追記:その後、問6として法第27条の12第2号等についてのFAQも追加されました。

改正電通法についてのガイドラインはまだのようですが、FAQの説明から、少しずつ外部送信規制の理解を深めて行けたらと思います。
ただし、今回のFAQは条文の解説が大半ですので、今後の更新に期待したいと思います!

また、電気通信事業参入マニュアル[追補版]電気通信事業参入マニュアル [追補版]ガイドブックは、そもそも電通法の適用となるか否かについて詳細の解説がなされたものですので、こちらも適宜参照すると良いと思います。特にガイドブックはわかりやすくて良いですね!!本ブログでも必要に応じて引用させていただきます。

1.外部送信規律とはなにか

そもそも、外部送信規律とは何か。電通法によるCookie規制、と言われることもありますが、FAQを見る限り、それは不正確なようです。

外部送信(ウェブサイトの場合)
外部送信(アプリの場合)
出所:総務省ホームページ

そもそも、外部送信規律については、以下のように整理できます。

このように、外部送信規律は、利用者の端末から外部に情報を送信するよう指令するプログラム等を利用者の端末に送信する行為全般を規制するものですので、こういう行為を行っていればCookieを利用していなかったとしても規律の対象となる、とされています。
この点から、外部送信規律のことをCookie規制だと言われるのは、ちょっと不正確だと言えますね。

なお、外部送信規律によって、ターゲティング広告そのものは規制されないとされています(問1-6)。

2.何をしなければならないのか

さて、具体的に見ていきましょう。そもそも法律は、誰に適用されるのか、も大切なんですが、まずは規律の対象となれば何をしなければならないのか、について、たまには(笑)先に見てみたいと思います。

(1)「利用者に関する情報」

前提として「利用者に関する情報」とは何か。
これは、利用者の端末に記録されている情報のことをいいます。

具体的には、Cookieや広告ID等の識別符号、利用者の氏名等、利用者以外の者の連絡先情報等、幅広い情報が含まれます(問1-15)。個人情報保護法でいうところの「個人情報」と「個人関連情報」のいずれもが含まれる、と言えるでしょう。

(2)「利用者に関する情報の内容や送信先について確認する機会を付与」の具体的内容

では、「利用者に関する情報の内容や送信先について確認する機会を付与」するとは具体的にはどういうことか。以下のいずれかを行う必要がある、とされています。

改正電通法でCookie規制がされるので、CMPを導入しなければならない。
というわけではなさそうですね(法律はいつも具体的施策までは指示してくれませんが)。ただ、各種ソリューションを導入した方が先々の管理などを考えると便利かな、という感じでしょうか。

なお、以下の情報の外部送信の場合にはこれらの措置は不要です。

3.規律の対象となる事業者

そして、皆さんが気になるのは、自分たちがこの規律に対処しなければならない事業者なのかどうか、ですね。

規律の対象となる事業者は、次の①②を満たすものをいいます。

(1)(前提)電気通信事業とは何か

これは、一言で言えば、「電気通信役務を提供することがなければ成り立たないサービス」ということです。

これも図で見てみます。

出所: 電気通信事業参入マニュアル[追補版]ガイドブック 6頁を筆者が一部加工

なんとなくイメージはつかめたでしょうか。

(2)①電気通信事業を営む者とは何か

電気通信事業を営む者とは、「電気通信役務を提供することがなければ成り立たないサービス」ということになりますが、その中には、
・登録・届出が必要な事業者
・第3号事業者
があります。

出所: 電気通信事業参入マニュアル[追補版]ガイドブック 7頁

ここで、3号事業とは、簡単に言えば、電気通信設備を設置せず、他人の通信を媒介する訳でもない場合が第3号事業、ということになります。

具体的には、
・SNS
・オンライン検索サービス
・オンラインショッピングモール/オークションモール
・各種情報のオンライン提供

が第3号事業にあたるとされています。
  ※なお、これらに付随した「メッセージ媒介サービス」(SNSのダイレクト
   メッセージなど)は届出が必要です。

■「他人の通信を媒介する」とは何か

他人の通信を媒介するとは、についても念のため見ておきます。

「他人の通信を媒介する」とは、サーバーを設置する事業者(クラウドを利用する事業者を含む)のサービスについて、以下のいずれにも該当する場合をいいます。
  ①加工・編集を行わない
  ②送信時の通信の宛先として受信者を指定している

具体的には、メールサービス、ダイレクトメッセージサービス、参加者を限定した(宛先を指定した)会議が可能なweb会議システム等が含まれます(問2-1)。

出所: 電気通信事業参入マニュアル[追補版]ガイドブック 8頁

(3)②「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」とは何か

以下のいずれかの電気通信役務のうち、ブラウザやアプリケーションを通じて提供されているものが該当します(問1-9)。

なお、その事業者の他の電気通信役務(利用者の利益に及ぼす影響が少ない電気通信役務)については外部送信規律には服さないとされています(問1-10)。

これらの中で、「各種情報のオンライン提供」に各事業者が行う情報提供が含まれるように思われることから、一様に戸惑いが生じているように思います。

参入マニュアルのガイドラインによればこのように説明されています。

出所: 電気通信事業参入マニュアル[追補版]ガイドブック 17頁

そうすると、各社さんが広報活動の一環として開設されている会社のホームページもこれに該当しそうですよね。しかし会社のホームページを保有しているだけでは第3号事業には該当しません。

出所: 電気通信事業参入マニュアル[追補版]ガイドブック 17頁

5.まとめ

以上、改正電気通信事業法についての概要をお届けしましたが、いかがでしたか?

このあたりはすでに色々なところで目にする内容とは思いますが、今一度ご確認いただけたらと思います!

次回「その2」では具体的ケースを見ていきたいと思います。

少し理解が進みましたね!

BICP DATAでは、改正電気通信事業法への対応ついてのご相談も広くお受けしております。お気軽にご相談ください!

WRITTEN BY: BICP DATA Inc. 中村恵美子
一覧へ戻る

CONTACT US
お問い合わせ

顧客中心型マーケティングにおけるデータ活用戦略の
推進をサポートします。

お問い合わせはこちら